カフェ雑感 vol.11

皆さま明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

2017年が暮れて2018年が静かに明けました。
北海道や北陸は大雪で大変ですが、横浜は気持ちよく晴れ上がり穏やかな新年です。

といっても正月らしい気分はあまり感じられず近所の神社への参拝客の行列がわずかに風情を伝えているのがせいぜいです。昔のような新年らしい改まった特別な空気はもはやどこにもありません。ネットでの売り買いが当たり前になった今では、デパートの福袋に長蛇の列ができた消費への熱気も今は昔、というか、そもそもモノにこだわることすら流行らない。

それにしてもこの変化の速さは何でしょう?社会を覆う空気感のみならず、あらゆる領域で進行するとりとめの無さ、おちつく間も無く訪れる次の事態に備えるため宙ぶらりんにされる感覚が不安感をかき立てます。2017年末株高はバブル期に迫り多くの上場企業が最高益を生み出した、と報じられました。しかしながらバブル期のようなわかりやすい高揚感は、社会に全く感じられません。失われた20年と言われるデフレが積みあがった年月が凝り固まった重石のように効いていて、格差や少子高齢化が進む構造的トラウマを壊すことができないでいます。

また、アメリカのトランプ、中国の習近平、ロシアのプーチン、そして言わずもがなの北朝鮮の金正恩とキャラが立ったナショナリストが勢ぞろいし、おまけにイギリスがEUから脱退する、経済のグローバル化、IT化が急激に進行するベクトルに対して真逆に動く政治の世界。民族対立、部族対立も含め世界がグローバリズムとナショナリズムの間で振動しています。宇宙船地球号のイメージをバックミンスター・フラーが示したのが60年代、それから半世紀を経てなお地球が一つになる気配さえありません。近年話題になった「サピエンス全史」の中で著者のユヴァル・ノア・ハラリは、人類の向かう方向は統一だと言っています。かつて無数に分かれて争っていた人類は次第に統合を続け今ようやく200前後(国家数)まで来たわけです。日本も安倍一強内閣が次から次と内部から問題を起こし安定どころか不安定な状況を自分から生みだしています。さらに地震や豪雨など自然の脅威が輪をかけて揺さぶります。エネルギー一つとってもフクシマ以降志向したはずの自然エネルギーに向かう施策は棚上げにし原子力発電が復活する、このどこまでも拠り所のないよくわからない状況はいつまで続くのでしょう?

私たちが専業する建築の世界もこのよくわからない気分に完全にシンクロしているようにみえます。ゼネコンはどこも最高益を記録しながらも人材不足、働き方改革、コンプライアンスに挟まれて身動きがとれない、とても最高益を謳歌する余裕はありません。設計の世界はどうでしょう。10年前に横浜国大意匠系大学院Y-GSAを作ったとき、建築は未来をつくる、というスローガンを掲げました。世界のさまざまな問題に対し建築が解答となるだけではなくむしろ世界を先導するイメージです。建築家はそのような建築を生みだす、つまり社会にコンセンサスを生みだす存在である、と主張したわけです。しかしながらストック社会が進行し建築の役割はすっかり変質しています。古い建築をリノベーションすることに価値があり、新しい建築を生みだすことはむしろカッコ悪い。ましてや新しい形に挑戦するなどもってのほか、望み、憧れながらも自分を手近なイメージしやすいところに縛り留めてるようです。

さて、カフェは今年4月に7年目に突入します。横浜市との約束の5年はとうに過ぎました。今までいろいろやってきましたが2018年はどのように運営していけばいいでしょう?Archiship Library &Cafeにとって重要な基本が2つあります。言わずもがなですが、まずこの「場所」があること、そして今は4,000冊近い「建築、アート本」があることです。この原点を活性化することを考えたい。カフェをやり続けることは最低限の活動であるとしてさらに場所、本をより多くの方達に利用してもらう方策を探っていきます。

いろいろな意味で閉塞感を壊したい、やりたいことを重ね、充足感のある日々を過ごしたい、その実現を目指し考え、行動したいと思います。

今年もArchiship Library &Cafe をご利用ください、何卒よろしくお願いいたします。

Archiship Library &Cafe
代表 飯田善彦

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