カフェ雑感vol.8

皆さま、寒中お見舞い申し上げます。

2016年は、とても暖かく穏やかなお正月から始まりました。

僕の小屋がある琵琶湖西岸から見える比良山系に続く山並みも人工スキー場以外全く雪がなく、これまでの1月とは全く異なる風景を呈しています。このまま寒くならないはずはないにしても、次の春夏には水不足になるのではないか、琵琶湖の水位も下がるに違いないと思わせるほどの暖かさです。自然に沿った営みとはいえ、自然そのものが変わってきてしまっていると感じる現在、この暖かさはいささか気持ちの悪い現象に映ります。

年初からイランーサウジの骨肉の争いが一挙に激化するなど、予想もつかないことが起こっています。実は12月の初めに一週間、当のイランに行っていました。日本の現代建築の展覧会がイランの中を巡回していて、タブリーズとイスファハンの二つの都市で講演を頼まれたからです。イランは紀元前ペルシャ帝国が繁栄して以来交易で栄えた国です。7世紀にイスラム化して以来イスラム文化が花開き16世紀にシーア派の王朝が成立して安定するも束の間、イギリス、ロシアを始め列強が次々と入り込みめまぐるしいほどの混乱を経て20世紀後半ホメイニの下でイランーイスラム共和国が樹立され、その後もイランーイラク戦争、核開発疑惑に伴う欧米の経済封鎖など危うい道をたどりながらもイスラムの大国として今に至っています。国土はペルシャの遺跡を初め世界遺産が目白押しで一度は行きたかった国の一つです。しかしながら、隣接するイラク、トルコ、アフガニスタンにはI.Sやらタリバンやらイスラム原理主義勢力による戦闘地域が拡がっていて、行く前はみんなに危ないんじゃないの?大丈夫?と言われながら、行ってみるとそんな心配は露ほどもなく、その話をするとイランの人たちは一様に苦笑いでした。イスラムの縛りはあるにしてもほとんど我々の世界と変わりません。建築家にもずいぶん会いましたが、海外に留学した経歴も多く全員英語が話せます。タブリーズは、アゼルバイジャンに近くマッチョでイケイケですし、イスファハンは緑多くやたらオシャレでどちらもハングリーな建築家であふれています。とにかく皆さん親切で面倒見が良く、会った人の多くが自分でワインを密造してるなど結構いい加減なたくましさも持ち合わせていて、この国結構好きかもと思わせるほど面白い1週間でした。しかしながら、サウジ他スンニー派との急激な対立がここまで表面化してくると、経済封鎖が解けてこれからバンバン行くぞ、と意気込み、2月に日本ツアーを予定していた建築家たちはいったいどうしているんだろうと心配になります。

ちょっと脱線しました、広い世界は相変わらずかくも苦難に満ちていますが、少なくとも私たちを取り巻く身近な世界はいつまでも穏やかさが続くことを願っています。

今年カフェは4年目を迎えます。これまで多くの方たちに支援され、様々な活動の場にもなってきましたが今年も変わらずできることに挑戦していきたいと思います。すでに周知したように、カフェを担当していた藤末萌が12月末に退社し、学生スタッフ共同体がより主体的に支えてくれることになりました。当初いろいろ混乱するところはあるかと思いますが、一味違う魅力的な企画も生まれるかもしれません。一昨年、昨年と続いた高宮眞介さんの連続講義もひと段落し、その分今年は静かになることでしょう。講義はとても面白く好評でしたからまた趣向を変えて再開すべく考えたいと思います。

その最初の連続講義、ヨーロッパ近代建築史を通してこれからのデザインを探る、がいよいよ115日に本にまとめられ、出版されました。出版元はなんとArchiship Library &Cafe、一度はやってみたかった出版が実現しました。去年日本の近代建築史講義と並行して高宮さん、フリックスタジオの皆さんと作業を進め、染谷さん、大川先生のご協力もいただいて年末校了しようやく出版にこぎつけました。定価2,700円+消費税です。とりあえずアマゾン主体に販売しますが順次書店にも拡げていきたいと思います。

皆さまどうぞ宣伝とご購入のほどよろしくお願いいたします。

今年一年皆さまお元気に、益々ご活躍されることを心からお祈りいたします。

2016116

飯田 善彦

AL01
カフェにて先行発売中! 定価¥2700+消費税

案内-04

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