カフェ雑感 vol.4

今年の横浜は随分と雪の多い冬でした。特に二度目の雪は思いもかけず重く、関内外の並木に相当のダメージを与え、翌日はあちこちで折れた枝がぶら下がり、その処置で根元から伐られた樹木も多く、場所によってはいっぺんに風景が様変わりするほどでした。都会の樹木が弱いのか、冬の嵐が異常に強くなったのか、当然のように電車も止まり、人通りもなく、カフェも臨時休業を余儀無くされ、何れにせよ初めての経験でした。

さて、いよいよ3月29日(土)から、2階を使って、ALC Galleryがオープンします。もともとスペースの使い方として目論んでいたものの、諸般の事情で事務所が拡張していたわけですが、ここにきてようやく整理がつき、ギャラリーが実現できる目処が立ちました。

第一弾は、小野耕石さんの個展です。フライヤーにも書いたように、小野さんの仕事は、シルクスクリーン、つまり版画に属するものですが、その個性は際立っています。10年ほど前に小さな個展を見て以来、他に類を見ない、その強烈な美しさに魅了され、ほとんど追っかけのように見てきましたが、概念、技術を超えてここまで抽象を突出させる作家は、僕の拙い経験とはいえ、見たことはありません。しかも、その作品は、シルクスクリーンという、ある意味で極めてポピュラーかつ限定的な手法から生み出される、逆に言えば、シルクスクリーンという技法でしか得られない、極限的試みの結果現れた世界なのです。

会期は3週間、なにぶん初めてのギャラリーですから緊張もありますが、できるだけ多くの人に見てもらい、小野耕石の世界を経験してもらいたいと思います。

初日に、神奈川県立近代美術館館長の水沢勉さんにおいでいただき、作家と私と3人で対談します。テーマは、「版画の異端は現代的たりえるか」、小野さんの作品を軸にどこまで話が拡がるか、あるいは深まるか、今から楽しみです。水沢さんも相当早くから小野さんの作品を見ていらっしゃるので、より大きな美術の地平でお話しいただけると思います。

中日の4月12日(土)には、小野さんと同世代の美術評論家、建築家、学芸員による対談を設けました。二つのギャラリートークで小野さんの世界をより鮮明にあぶり出すことができるでしょう。

これからも気になっている作家に声をかけ、できるだけ定期的に展覧会を開きたいと考えています。皆様に足を運んでいただき、カフェ同様、豊かなひと時をお過ごしいただければ幸いです。

 

2014.03.14
飯田善彦

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